個人事業主がクレジットカードで経費を決済するメリットと仕訳方法

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「毎月の事業経費の精算が面倒…」と経費の記帳や精算業務に頭を悩ませている個人事業主の方も多いのではないでしょうか?

そのような人はクレジットカードで経費を精算することによって、会計処理や精算を楽にすることができます。

今回は、クレジットカードで経費を決済するメリット・デメリットや会計処理方法について解説していきます。

クレジットカードで経費精算を行うイメージを具体的に掴むことができるので、これからクレジットカードの導入を検討している個人事業主の方はぜひご覧ください。

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この記事の監修者

手塚大輔(てづか・だいすけ)ファイナンシャルプランナー/証券外務員

地方銀行に8年勤務し、住宅ローン・カードローン・フリーローンなど個人ローンの他、事業性融資・創業融資など幅広い業務を担当。ファイナンシャルプランナーの資格を有する。

クレジットカードで経費を計上するメリット

クレジットカードで経費を計上することには次の6つのメリットがあります。

  1. 経費管理を見える化できる
  2. 会計ソフトと連動して経費処理が楽になる
  3. 年会費が経費になる
  4. 資金繰りが楽になる
  5. ポイントが貯まる
  6. 法人カードはビジネス向け付帯サービスが豊富

クレジットカードで経費精算することによって、現金で経費を支払うよりも多くのメリットを得ることができます。

クレジットカードで経費を支払う6つのメリットについて詳しく解説していきます。

経費管理を見える化できる

事業用のクレジットカードを使うことで、経費を「誰が」「何に」「いくら」使ったのかということが一目で分かります。

事業用のクレジットカードは利用者ごとの明細を確認することができ、「経費を使いすぎていないか」「無駄な支出はないか」「削減できるところはないか」ということを明確にできます。

会計ソフトと連動して経費処理が楽になる

事業用のクレジットカードは、会計ソフトと連携させることができます。

会計ソフトと連携させることによって、事業用のクレジットカードで使用した経費は、自動的に会計ソフトが仕訳と記帳をしてくれます。

現金で経費を精算する場合は、領収書1つ1つを仕訳して記帳を行わなければならず非常に面倒です。

事業専用のクレジットカードを使用することによって、仕訳処理が不要になるので会計処理は圧倒的に楽になります。

年会費が経費になる

ほとんどの事業専用のクレジットカードには年会費がかかります。

事業用のクレジットカードの導入に後ろ向きな方の中には、「年会費がかかるのが嫌」という人も多いのではないでしょうか?

しかし、事業用のクレジットカードの年会費は経費にすることができるので、利益が出ている事業者の方はクレジットカードを契約することによって節税にもつながります。

資金繰りが楽になる

クレジットカードで経費の支払いをすることによって、事業の資金繰りが改善することがあります。

クレジットカードは利用した日から代金が口座から引き落とされるまで時間があります。

例えば8月1日にカードを使えば、8月31日に締め日となり、9月末に引き落とされるというのが、オーソドックスな支払いの流れです。

つまり、支払いを最大で2ヶ月先とすることができ、会社には2ヶ月分の資金繰りの余裕が生まれます。

現金で決済するよりも資金の流出までに時間がかかるので、クレジットカードを使用することによって資金繰りは円滑になります。

ポイントが貯まる

クレジットカードを利用して経費を支払うことによって、利用額に応じたポイントを貯めることができます。

ほとんどのカードで使った金額の0.5〜1.0%程度のポイントが貯まるので、現金で決済するよりもメリットがあります。

貯まったポイントで事業に必要な物品を購入することもできるので、クレジットカードで経費を支払うことは金銭的にもメリットが大きいと言えるでしょう。

法人カードはビジネス向け付帯サービスが豊富

クレジットカードにはさまざまな付帯サービスが用意されていますが、法人カードを契約すればビジネスに活用できるサービスを多数受けることが可能です。

  • 空港ラウンジ無料利用
  • 国内・海外旅行傷害保険
  • レストラン・ホテル優待
  • 事務用品割引
  • 会計ソフト利用料割引
  • 福利厚生サービスの提供

クレジットカードを契約することによって、これらのビジネスに役立つサービスの提供を受けることができます。

付帯サービスだけで年会費を取り戻すことができるほど、充実したサービスを提供しているカードも多数あります。

経費をカードで精算するメリットと同じくらい、付帯サービスには大きなメリットがあると言えるでしょう。

クレジットカード決済で使用する勘定科目

クレジットカードで支払いをすると、会計処理が面倒だと思っている人も多いのではないでしょうか?

確かにその場で現金を支払った時よりも仕訳の手間は少し増えるものの、「未払金」と「事業主借」「事業主貸」という2つの会計処理方法さえ理解してしまえば、それほど複雑ではありません。

クレジットカード決済で使用する勘定科目と仕訳方法について詳しく解説していきます。

「未払金」

事業用のクレジットカードで事業用の経費を支払った場合には「未払金」という勘定科目を使用し、利用代金が引き落としになった時に未払金勘定を消します。

1万円の経費をクレジットカードで支払った時の仕訳と、代金が決済された時の仕訳は次の通りです。

  • クレジットカードで事務用品1万円を購入した
借方 貸方
消耗品費 1万円 未払金 1万円
  • クレジットカードの代金が普通預金から引き落とされた
借方 貸方
未払金 1万円 普通預金 1万円

未払金勘定を使用するのは、販売費及び一般管理費などの経費を使用する場合のみです。

なお、販売目的で仕入れた商品などを購入した場合には、「買掛金」の勘定科目を使用します。

「事業主借」と「事業主貸」

個人のクレジットカードを使用して事業用の決済をした場合には、「事業主借」という勘定科目を使用します。

反対に、事業用のクレジットカードで代表者などの個人的支出を決済した場合には、「事業主貸」という勘定科目を使用します。

クレジットカード決済を記帳する際の注意点

クレジットカードで経費を支払う場合には、次の5つのポイントに注意してください。

  1. 領収書がない場合
  2. 分割払いの手数料
  3. ポイントやマイルでの支払い
  4. 商品券やキャッシュバック
  5. Web明細の保存方法

現金で支払う場合と異なり、クレジットカードは領収書やポイントの取り扱いが特殊です。

クレジットカードで経費を決済する際の5つの注意点について詳しく見ていきましょう。

領収書がない場合

クレジットカードで決済すると、「領収書がない」と焦ってしまうことも多いのではないでしょうか?

確かにネットでの決済やETCカードの利用などは、領収書が発行されないことも少なくありません。

このような場合は、領収書がなくてもOKです。

そもそもクレジットカードで決済した場合には、領収書は必要ありません。

クレジットカードの利用明細が領収書の代わりになるので、領収書を受け取っていない場合には利用明細をしっかりと保管しておきましょう。

この点でも、現金で決済するよりもクレジットカードで経費を支払った方が領収書類の保管が簡単だと言えます。

分割払いの手数料

クレジットカードで分割払いした場合には、手数料を経費として扱い、会計処理をしなければなりません。

手数料などの仕訳は次のようになります。

  • 5万円の消耗品を毎月1万円ずつの5回払いで購入した
借方 貸方
消耗品費 50,000円 未払金 50,000円
  • カードの引落日に分割代金と手数料が普通預金から引き落とされた
借方 貸方
未払金 10,000円
支払利息 3,000円
普通預金 13,000円

元金の支払分は「未払金」、手数料は「支払利息」として別々に処理します。

ポイントやマイルでの支払い

事業用のクレジットカードで貯まったポイントやマイルを使用して事業に必要な商品やサービスを購入した場合、特に会計処理は必要ありません。

ただし、あくまでも経費を使用して貯まったポイントですので、あらかじめ使用については内規を決めておき、内規通りにポイントやマイルを使用するのが基本です。

ポイントの使用については会計上のルールはありませんが、社内でルールを決めておきましょう。

商品券やキャッシュバック

また、クレジットカードの中にはポイント還元ではなく、キャッシュバックを行うカードも存在します。

キャッシュバックの場合はポイント還元とは異なり、仕訳が必要です。

キャッシュバックを受けた場合は「雑収入」という勘定科目を使用して、次のように仕訳を行います。

借方 貸方
普通預金 5,000円 雑収入 5,000円

ポイント還元ではなく商品券を受け取った場合も、貸方は「雑収入」として処理します。

Web明細の保存方法

クレジットカード払いで領収書の代わりになるのが、クレジットカードの利用明細です。

青色申告の場合には7年間の領収書保管義務があるので、利用明細も7年間保管しなければなりません。

Web明細の場合には「オンライン上に保管されているから大丈夫」と安心してしまいがちですが、保管には期限が設けられていることが一般的ですので、定期的に印刷して紙ベースで保管するようにしましょう。

白色申告と青色申告の記帳方法の違い

クレジットカードで経費を支払う場合、青色申告と白色申告の申告方法の違いによって記帳方法も異なります。

確定申告の方法別に、記帳方法の違いについて詳しく解説していきます。

白色申告と青色申告10万円控除

白色申告と青色申告の10万円控除では、複式簿記で記帳する必要はありません。

単式簿記で記帳します。

そのため、クレジットカードで支払ったものでも、現金で支払ったものでも同じように次のように記帳します。

  • 消耗品1万円をクレジットカードで支払った
収入 支出
消耗品費 1万円

青色申告55万円控除、65万円控除

青色申告の55万円控除または65万円控除を利用する場合には、複式簿記で記帳しなければなりません。

仕訳は借方と貸方に分かれるので、次のように記帳を行います。

  • 消耗品1万円をクレジットカードで支払った
借方 貸方
消耗品費 1万円 未払金 1万円

このように、どのような申告方法で確定申告を行うかによって仕訳の内容が変わってくる点に注意しましょう。

また、どの口座からカードの代金を支払うかによっても仕訳は異なります。

個人口座から利用代金を支払う場合

事業用のとして決済したものについて、個人口座から代金を支払う場合には「事業主から借りた」という解釈になります。

そのため、「未払金」ではなく「事業主借」という勘定科目を使用します。

事業用の口座から利用代金を支払う場合

事業用の銀行口座から事業用のカードの代金が引き落とされる場合には、「未払金」という勘定科目を使用します。

どの口座から代金が落ちるかによって仕訳が異なるので注意しましょう。

個人事業主におすすめの法人カード3選

個人事業主が事業の経費を支払うのにおすすめのクレジットカードは次の3つです。

  1. アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
  2. オリコ EX Gold for Biz S
  3. JCB CARD Biz ゴールド

これらのカードはステータスが高く、付帯サービスが充実しています。

かといって審査が非常に厳しいというわけではないため、個人事業主でも加入することが可能です。

個人事業主におすすめの法人カードを3つご紹介していきます。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
総合評価表示しない
年会費 36,300円(税込)
還元率 0.5%
国際ブランド americanexpress
電子マネー
  • ETCカード
  • 国内旅行保険
  • 海外旅行保険
  • 家族カード

※プロモーションを含みます

キャンペーン情報

■新規入会特典
 合計250,000ボーナスポイント獲得可能
※150,000ボーナスポイント獲得可能
・ご入会後4ヶ月以内に合計60万円のカードご利用で50,000ボーナスポイント
・ご入会後4ヶ月以内に合計120万円のカードご利用で50,000ボーナスポイント
・ご入会後1年以内に合計200万円のカードご利用で30,000ボーナスポイント
・通常利用獲得:合計200万円のカードご利用で20,000ボーナスポイント
※100,000ボーナスポイント獲得可能
・加盟店利用特典:ご入会6カ月以内に対象加盟店で合計200万円以上カード利用で100,000ボーナスポイント

付帯サービスが充実したクレジットカードです。

約150店舗のレストランを2名以上で利用した場合、1名分のコース料理代が無料になる「ビジネス・ダイニング・コレクション by グルメクーポン」、オフィス用品のキャッシュバック、コワーキングスペースの利用料金割引などの特典に加え、保険も充実しています。

また、発行されるカードはメタル製で、ステータスも非常に高いクレジットカードです。

年会費は高めですが、サービスとステータスを重視したい人には向いているクレジットカードだと言えるでしょう。

オリコEX Gold for Biz S

EX Gold for Biz S(エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エス)

総合評価表示しない
年会費 初年度無料
2年目以降2,200円(税込)
還元率 0.5%
国際ブランド visamaster
電子マネー
  • ETCカード
  • 国内旅行保険
  • 海外旅行保険
  • 家族カード

年会費2,200円で持つことができるゴールドカードです。

MastercardビジネスアシストまたはVisaビジネスオファーが付帯されるので、レストランやホテルなどを優待料金で利用することができます。

空港ラウンジ無料で利用することができ、旅行傷害保険も充実しているので、出張が多い個人事業主の方が活用できるカードだと言えるでしょう。

JCB CARD Biz ゴールド

JCB CARD Biz ゴールド

総合評価表示しない
年会費 初年度無料
2年目以降11,000円(税込)
還元率 0.5%
国際ブランド jcb
電子マネー quicpay
  • ETCカード
  • 国内旅行保険
  • 海外旅行保険
  • 家族カード

キャンペーン情報

・【Web限定】新規入会&利用で最大25,000円分のAmazonギフト券(Eメールタイプ)プレゼント

JCB CARD Bizは、Amazonやビックカメラなどでポイント優待を受けることができる人気の法人カードです。

これに加えてゴールドカードなら次のような特典を受けることができます。

  • 空港ラウンジサービス
  • JCBゴールドグルメ優待サービス
  • ゴルフエントリーサービス

所定のレストランの食事代やゴルフ場のプレー料金などの割引を受けることができるため、接待が多い個人事業主の方におすすめの1枚だと言えるでしょう。

この記事のまとめ

個人事業主がクレジットカードで経費を決済することによって、次のようなメリットがあります。

  • 経費管理を見える化できる
  • 経費処理が楽になる
  • 年会費を経費計上できる
  • 資金繰りが楽になる
  • ポイントが貯まる
  • 充実した付帯サービスを受けられる

慣れるまでは仕訳方法等に戸惑う場面もあるかもしれませんが、慣れてしまえば現金で決済するよりも会計処理は確実に楽になります。

自社のニーズに合った付帯サービスを提供している法人カードの作成を検討してみましょう。

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