社員用に法人カードを発行するメリット|注意点とリスク対策も解説

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「社員が経費を使う機会が多いので法人カードの発行を検討したい」と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか?

確かに社員に法人カードを持たせることで、経費精算等は圧倒的に便利になりますが、一方で不正使用等のリスクもあります。

そのため、社員に法人カードを持たせる際には、事前にしっかりと準備をすることが非常に重要です。

社員に法人カードを持たせるメリットと、事前にすべき準備について詳しく解説していきます。

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この記事の監修者

手塚大輔(てづか・だいすけ)ファイナンシャルプランナー/証券外務員

地方銀行に8年勤務し、住宅ローン・カードローン・フリーローンなど個人ローンの他、事業性融資・創業融資など幅広い業務を担当。ファイナンシャルプランナーの資格を有する。

社員用に法人カードを発行するメリット

社員にクレジットカードを発行することによって様々なメリットがあります。

仮に、社員が経費を全く使用しないのであれば、法人カードを作成する必要はありません。

しかし、少しでも社員が経費を使うのであれば、社員に法人カードを持たせることで、驚くほど利便性の向上を感じることができるでしょう。

社員用に法人カードを作るメリットとして、主に次の5つの点をあげることができます。

  1. 経費精算の手間を省くことができる
  2. 会計ソフトと連動させることで経理が楽になる
  3. ポイント・マイルの還元
  4. 経理トラブルのリスクを回避できる
  5. 従業員もカードの付帯サービスを利用できる

社員に法人カードを発行することの5つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

1.経費精算の手間を省くことができる

法人カードを使って社員が経費を支払うことで、経費精算の手間を省くことができます。

社員が使用した経費の精算は、領収書を受けとり1円単位までの細かい現金を用意したり、給料の際に調整したりと非常に面倒で、経理担当者の事務コストも膨大になります。

その点、法人カードで経費を支払うようにすれば、面倒な経費精算事務から解放され、業務を効率化できるのです。

2.会計ソフトと連動して経理が楽になる

経費精算を法人カードで行うことによって、経理担当者は仕訳や記帳の手間を省くこともできます。

ほとんどの法人カードは、freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトと連動しています。

会計ソフトと法人カードを連動させることにより、カードの利用明細がソフトに自動反映され、自動的に仕訳を行ってくれます。

現金で経費精算する場合には、経理担当者が仕訳を行い、会計ソフトなどに記帳をする必要があります。

しかし、法人カードであれば自動で仕訳を行ってくれるので、経理業務を効率化することが可能です。

3.ポイント・マイルの還元

社員が法人カードで経費を支払うことによって、使用した金額に応じたポイントやマイルが貯まります。

現金での支払いでは、これらの還元を受けることはできません。

社員全員が使う経費ともなると金額が大きくなるので、還元分も大きくなります。

利用金額に応じた還元を受けることができるという点も、法人カードを社員に持たせるメリットの1つです。

4.経理トラブルのリスクを回避できる

経費精算においては、「領収書の紛失」や「年度をまたいでの精算は受け付けない」など、精算に関するトラブルが少なくありません。

これらは現金で精算するからこそ起こることです。

法人カードで精算すれば、従業員による立て替えがありません。

また、誰が何にいくら使ったのかを明確にできるので、経費精算に伴うトラブルを回避することが可能です。

5.従業員もカードの付帯サービスを利用できる

社員に法人カードを発行しておけば、メインカードに付帯されている様々なサービスを社員も利用することができます。

法人カードには空港ラウンジの無料利用や、レストランの割引など様々な特典が用意されており、社員にクレジットカードを持たせることによって、これらの付帯サービスを社員も使うことができます。

社員にカードを持たせる前に準備するポイント

社員用のカードを発行する前に、事前に次のようなことを確認し準備しておきましょう。

  • 何枚必要なのか
  • 限度額はいくら必要か
  • 何のために使用するのか
  • カード使用に関する社内ルールや規約を明確に作成する
  • パーチェシングカードで代用できないか検討する

使用機会や持たせるメリットがないのであれば、法人カードを作成する必要はありません。

社員に持たせるカードの枚数や限度額、社内のルールなどについて、事前に準備しておきましょう。

何枚必要なのか

社員に対して発行するカードは何枚必要なのか、事前に確認しましょう。

カードによって発行可能な追加カードの枚数は異なるためです。

また、追加カードは従業員個人の名義になるので、誰が使用するのかを明確にする必要があります。

限度額はいくら必要か

法人カードの限度額はいくら必要になるのかということも、事前に把握しておきましょう。

経費を精算するためのカードですので、自社の経費の金額に合わせた限度額のカードを作成する必要があります。

年会費無料のカードなど限度額が小さいものは、事業規模によっては十分に活用できない可能性もあります。

例えば年会費無料のNTTファイナンスBizカード レギュラーは限度額が80万円と少額ですので、事業規模が大きい企業には向いていません。

事前に自社にとって適正な限度額を把握し、それに見合った限度額を設定している法人カードに申し込みをしましょう。

何のために使用するのか

社員がカードを使う目的を把握しましょう。

例えば、社用車を多く使う企業であれば、ETCカードの年会費が無料のカードがよいでしょう。

海外出張が多いのであれば、空港ラウンジを無料利用できるカードが向いています。

カードの使用目的を明確にし、適した法人カードを契約するようにしてください。

カード使用に関する社内ルールや規約を明確に作成する

社員に法人カードを持たせることにより、不正利用のリスクも発生します。

そのため、事前に法人カード使用に関する社内マニュアルを整備しておいた方がよいでしょう。

  • カードを使用する目的
  • カードを使用できる時間
  • 使用にあたって上長の許可

これらを事前に取り決めて、不正使用がないように社員に使い方を周知する必要があります。

パーチェシングカードで代用できないか検討する

クレジットカードはどのような使途にも利用できてしまうので、特定の目的だけに使用できるパーチェシングカードで代用できないかも検討しましょう。

例えば、ガソリン代の精算が多い企業であれば、ガソリン代だけに使用できるパーチェシングカードを発行すれば、不正利用のリスクを大幅に軽減することができます。

カードの使途が限定されているのであれば、パーチェシングカードの導入を検討してみましょう。

どんな時にカードは必要?役職ごとの法人カードの使用例

そもそも社員用の法人カードはどのような場面で必要になるのでしょうか?

会社内の役職ごとに、カードの使用例を具体的に紹介していきます。

営業社員

営業社員が法人カードを使用する場面としては、交通費が最も多いでしょう。

出張の際に利用する新幹線の運賃や飛行機のチケット代などです。

また、営業車両を使う場合にはETCカードが必須ですので、ETCカード発行のために法人カードを契約するケースもあるでしょう。

さらにガソリン代の精算も必要です。

移動が多い営業社員は交通費の支払いのために法人カードが必要になります。

役員

役員が法人カードを使用する場面として多いのは、取引先との会食やゴルフなどの接待交際費でしょう。

法人カードに付帯されているサービスによっては、レストランでの食事やゴルフ場の利用で様々な優待を受けられることもあります。

役員クラスになると保有するカードのステータスも重要になり、ステータスの高いカードの中には「コース料理の代金を1名無料にする」というような特典もあります。

役員が法人カードを使用する機会が多い会社であれば、ゴールドやプラチナなどのステータスの高い法人カードを契約するとよいでしょう。

総務部長や経理部長

備品管理を担う総務や経費処理を担う経理といった部署では、備品の仕入れ時や水道光熱費などの支払いにおいて法人カードがあると便利です。

特に備品は現金で購入すると領収書が何枚にもなり、経理処理が面倒になります。

支払いを法人カードに一本化することによって、経理業務が円滑化するでしょう。

社員に法人カードを持たせる際の注意点

社員に法人カードを持たせることは確かに便利です。

しかし、クレジットカードには不正利用のリスクがつきものです。社員に法人カードを持たせる際には次の点について注意しましょう。

  • 追加カードの名義人は社員個人名義になる
  • 追加カードやETCカードの年会費を確認する
  • カード使用について上司への申告義務を設ける
  • ポイントやマイルを社内で管理する
  • カードの利用目的に制限を設けて私的利用を防ぐ
  • ガソリン代は不正利用が起こりやすいので要注意

社員にカードを持たせる前に6つの注意点についてもしっかりと頭に入れておきましょう。

追加カードの名義人は社員個人名義になる

社員用に法人カードの追加カードを発行する場合、追加カードの名義人は社員個人の名義になります。

クレジットカードは、たとえ契約名義が法人であっても、カードを使用する個人に対して発行されるものだからです。

そして、クレジットカードは名義人以外は使用することができないので、必ずカードを使用する社員の名前と人数を事前に確定しておきましょう。

追加カードやETCカードの年会費を確認する

法人カードの追加カードとETCカードの年会費は、カードによって異なります。

法人カードの中には追加カードの年会費が1万円以上するカードもあるので、追加カードとETCカードの発行枚数がどの程度で、年会費の合計がいくらになるのかということを事前に調べておいた方がよいでしょう。

カード使用について上司への申告義務を設ける

法人カード使用に関する社内規定を作成する際は、カード使用について上司へ申告義務を設けるなど、従業員が自由にカードを使わないよう、一定のルールを設けましょう。

法人カードの不正使用を防ぐために、口頭やメールなどで何の目的でカードを使うのか申告させるようにしましょう。

ただし、カード使用申告書などの書類を作成するルールにすると、かえって手続きが煩雑になってしまいますので、できる限りシンプルな申告の形をとるようにしてください。

ポイントやマイルを社内で管理する

従業員が法人カードで貯めたポイントやマイルは従業員が管理するのではなく、社内で管理するようにしてください。

会社の支払いで貯めたポイントを従業員が使ってしまうことには一定の問題がありますし、従業員同士で不平等が生じることになります。

法人カードで貯めたポイントを個人的に使っても法的には問題ありませんが、会社内のルールに基づいて運用されるべきです。

貯まったポイントをどのように運用し、管理するのかを事前にルールを明確にしておきましょう。

カードの利用目的に制限を設けて私的利用を防ぐ

法人カード利用に関する社内ルールやマニュアルを作成する際、最も重要になるのが、カードの利用目的に制限をかけるというものです。

「飲食はNG」「交通費の支払いのみ」など、法人カードの使い道に一定の制限を設けることで、従業員個人の私的利用を防ぐことができます。

ガソリン代は不正利用が起こりやすいので要注意

ガソリン代は最も不正利用が起こりやすい支出の1つですので、運用ルールを明確にしておきましょう。

クレジットカードでガソリン代を支払ったとしても、どの車にガソリンを入れたのかまでは明細に表示されません。

そのため、仮に社員が個人で使用している車両のガソリン代の支払いに使用しても、不正が発覚しづらいのです。

社用車の走行距離を定期的にチェックするなどして、不正なガソリン代の支払いが行われていないか確認できるルールを作成しておきましょう。

社員用カード発行におすすめのビジネスカード3選

社員に法人カードを発行するのであれば、ポイントやマイルが貯まりやすくビジネスに便利な特典が用意されているカードがおすすめです。

社員に発行する法人カードとしておすすめのカードは次の3つです。

  • セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
  • アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
  • 三井住友カード ビジネスオーナーズ

それぞれのカードの特徴や還元率などについて詳しく解説していきます。

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
総合評価表示しない
年会費 22,000円(税込)
還元率 0.5%
国際ブランド americanexpress
電子マネー quicpayiD
  • ETCカード
  • 国内旅行保険
  • 海外旅行保険
  • 家族カード

※プロモーションを含みます

セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは海外出張が多い会社で社員に持たせたいカードです。

JALマイルの還元率が最大1.125%でマイルを貯めやすく、世界中の空港ラウンジを無料利用できるプライオリティパスもついています。

年会費も22,000円、追加カード年会費は3,300円と、プラチナカードとしては安価ですのでコストパフォーマンスに優れたビジネスカードだと言えるでしょう。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
総合評価表示しない
年会費 36,300円(税込)
還元率 0.5%
国際ブランド americanexpress
電子マネー
  • ETCカード
  • 国内旅行保険
  • 海外旅行保険
  • 家族カード

※プロモーションを含みます

キャンペーン情報

■新規入会特典
 合計250,000ボーナスポイント獲得可能
※150,000ボーナスポイント獲得可能
・ご入会後4ヶ月以内に合計60万円のカードご利用で50,000ボーナスポイント
・ご入会後4ヶ月以内に合計120万円のカードご利用で50,000ボーナスポイント
・ご入会後1年以内に合計200万円のカードご利用で30,000ボーナスポイント
・通常利用獲得:合計200万円のカードご利用で20,000ボーナスポイント
※100,000ボーナスポイント獲得可能
・加盟店利用特典:ご入会6カ月以内に対象加盟店で合計200万円以上カード利用で100,000ボーナスポイント

アメックスビジネスゴールドカードは、接待などが多い会社が社員に持たせるのに向いているカードです。

全国約150の所定のレストランで2名以上で食事をした場合の料金が1名無料になるので、これだけでも年会費をペイすることができます。

また、ゴルフ場の予約を無料で依頼することもできるので、ゴルフ接待にも向いています。

年会費は34,100円と比較的高めですが、アメックスのステータスの高さと充実した付帯サービスを考慮すれば、コスパがよいと言えるでしょう。

三井住友カード ビジネスオーナーズ

三井住友カード ビジネスオーナーズ

三井住友カード ビジネスオーナーズ
総合評価表示しない
年会費 永年無料
還元率 0.5〜1.5%※
国際ブランド visamaster
電子マネー iDApplePayGooglePayPitaPa
  • ETCカード
  • 国内旅行保険
  • 海外旅行保険
  • 家族カード

※対象の三井住友個人カードと2枚持ちで最大1.5%還元

キャンペーン情報

  • 新規入会&条件達成で10,000円相当のVポイントプレゼント!

社員の簡単な経費精算やETCカードの発行などに向いているビジネスカードです。

また三井住友の個人カードも所有すれば、ビジネスオーナーズ利用時に特定の加盟店で最大1.5%のポイント還元があるので、ポイントを貯めやすいのも魅力です。

出張などではなく、日常的な経費の支払いに向いているカードです。 追加カードの年会費が永年無料なのもメリットと言えます。

この記事のまとめ

社員に法人カードを持たせる最大のメリットは、経費精算にかかる事務コストを軽減し、経理業務の効率化を図れることです。

また、誰がいくら使ったのかもわかるので、各社員の経費意識の把握などにも活用することができます。

一方で、社員に法人カードを持たせることには、不正使用のリスクもあります。

不正使用を防ぐためには、次のような準備を事前にしっかりと行う必要があります。

  • 何枚必要なのか明確にする
  • 必要な限度額を決める
  • 使用目的を限定する
  • カード使用に関する社内ルールや規約を明確に作成する
  • パーチェシングカードで代用できないか検討する

社員が法人カードを持つことには大きなメリットがあるので、適正にカードが使われるように準備したうえで、導入を検討してみましょう。

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